小谷野敦さんの「日本売春史」を読んで - 名無しさん(ID:74389)の風俗コラム |口コミ風俗情報局

No Photo
名無しさん
    風俗コラム『小谷野敦さんの「日本売春史」を読んで』
    タイトル小谷野敦さんの「日本売春史」を読んで
    投稿者名無しさん(ID:74389)
    投稿日2020年05月14日
    『小谷野敦さんの「日本売春史」を読んで』
    今回は小谷野敦さんの「日本売春史」という本について書きたいと思います。

    第一章は売春の起源について書いてありました。小谷野さんは売春についての起源はなく、世界各地で自然に発生したと考えるべきだと言っていました。

    第二章は古代の遊女について取り上げていました。私が特に印象に残った記述は、中国の唐の時代に、「教坊記」や「北里志」といった遊里案内書があって、それが江戸時代の遊女評判記や吉原細見の先駆けとなっていて、しかも現在の「マンゾク」などの風俗情報誌はこれらの伝統を引き継いでいるという記述で、この事から昔から口コミ風俗情報局みたいなものがあったという事に、私は驚きました。

    第三章は遊女論争についての話でした。因みに私が印象に残ったのは、素人の女性が無償でのセックスに容易に応じなくなったから中世の遊女や近世以降の遊郭が栄えたという作者の考えです。

    第四章は「聖なる性」論の起源について取り上げていました。因みに作者は古代から現代に至るまで遊女が聖なる性を備えた存在だなどということは、共同幻想としてすらなかったと言っていました。

    第五章は中世の遊女について取り上げていました。私が印象に残ったのは中世の芸能関係者が売春も行っていたから、芸能関係者に対する差別があったというのは納得が行きました。

    第六章は江戸時代の吉原や新町や島原などの遊郭について取り上げていました。私が特に印象に残った作者の言葉は、江戸時代の花魁を賞賛しながら現代の泡姫を同じように言わないのは偽善だという言葉です。この言葉には私も同感です。

    第七章は江戸時代の岡場所や地方の遊郭や飯盛女について取り上げていました。特に時代劇でしか見た事がない飯盛女について詳しく書かれていたので、読み応えがありました。

    第八章は明治から戦前までの公娼制度と、廓清会や救世軍や矯風会などが行った廃娼運動について取り上げていました。私が印象に残ったのは「青鞜」の二代目編集長だった伊藤野枝が「傲慢狭量にして不徹底なる日本婦人の公共事業に就て」で、虚栄心から社会事業を行う有閑マダムや矯風会に対して、芸妓や娼婦を「賎業婦」と呼んで、公娼制度を外国人に恥ずかしいというのは、人間性を理解しないで、そうした境遇にある女性たちを侮蔑するものだとして批判していた事です。これには作者だけでなく私も感動しました。

    第九章はカフェや赤線・青線や戦後のソープランドやデリヘルやピンサロや売買春論争について取り上げていました。特に印象に残ったのは橋爪大三郎さんが論考で性産業に従事する人間への差別的な見方がなくなる事はないと言っていた事です。

    最後に後書きで作者は売春は必要悪なので合法化した方が良いと言っていました。これには私も同感です。

    この「日本売春史」は私が風活をする上で読んでおいて良かったと思いました。
    この風俗コラムへの応援コメント(10件中、最新3件)
    [!]このページについて報告